ピアニストの料理について

「職業がピアニストの方は包丁なんて持たないんでしょう？」なんて言われることがあります。

ピアニスト全体の統計なんてわかりませんので、わたしの話になりますが。

最近は、特に子どもが生まれてからはあまり言われなくなってきましたが、現役音大生の頃や駆け出しの頃などは結構よく言われたものです。

学生の頃は、包丁さばきもかなり怪しいものがあったし、大体料理自体に全く自信がなかったこともあり、一人暮らしでしたが料理は最低限しかしていませんでした。
お魚焼いたり、時々お味噌汁作ったりしてたくらいかも。
目玉焼きも作ったかな。まあその程度です。

20代半ばも過ぎた頃から、少しずつ料理に興味が出てきて、そのうちマクロビにハマったりして、毎日ガンガン野菜刻んでたし、一人暮らしだけど9割自炊していた時代もありました。
(副業として京料理店の厨房でアルバイトしていたことも)

上の子が3歳になって保育園に行きはじめると仕事がどんどん忙しくなって、あまり料理をしなくなった時期が3年くらいありましたが、その後結婚をしてからはほぼ毎日包丁を握っています。
(産後を除く)

そんな感じでごく普通にお料理はしております。

プロになってキャリア15年の間、一度だけ包丁でした怪我が理由で仕事に穴をあけたことがありました。
現在2歳の息子がお腹にいる時、人参のみじん切りをしていて手がすべり、左手の親指の先を爪も一緒に4〜5mmほど切り落としてしまったのです。
いや〜あれは痛かった…。
今でも思い出すとゾクゾクします。
何が起きたかわからなくなるほど痛かった。
数日間は激痛だったので、2〜3日仕事を休んだり代わってもらったりしました。
(方々からお叱りを受けました)

メディカルアロマを使った治療法が良かったようで今では傷跡すらないのが幸いですが。

こんな失敗談もありますが、、、
15年間で一度のその怪我は料理が悪かったとはわたしは思っていません。
15年もあれば様々な事故に遭う可能性は誰にでもあると思うので。
もちろん気を付けなかったのはわたしの責任ですが。
それにそんなにしょっちゅうしょっちゅうミスるほど普段料理してない訳でもありません(笑)

でも、1回のコンサートで何百万円ないし何千万円もの収益・利益が発生するような大演奏家だったら、お料理なんてしない方が良いのかもしれません。

「ピアニストは包丁なんて持たないんでしょう？」と言ってくるような方は、おそらくそういったピアニストと勘違いしていらっしゃるんじゃないかと。

ピアノを弾く仕事はしてますけど、こちとら凡人ですので、料理もするし出産もするし時にはスポーツだってしますよ。
(別の機会に「ピアニストの球技について」も書きたいと思います)

出産と書いたけれど、最近は自身のキャリアのために出産を諦める演奏家・舞踊家・スポーツ選手は少し昔と比べてだいぶ減ってきていますよね。
(でも少し昔に出産年齢だったアルゲリッチは3度も出産していますね)

話はそれましたが。

あと時々、「ピアニスト＝指が大切」という思い込みからか、手タレさん(手のモデルさん)のような過保護に手を守るような生活をピアニストもしていると思い込まれている方がいるようなのですが(実際そんな風にきかれた経験あり)、そんなことは全くありません。

そりゃ指は大事ですけど、指が動いても手首が痛かったら思うように弾けないし、手首が動いても肩が痛かったら思うように弾けないし、腰が痛かったら座ってられないし、足が痛かったら音量を出すために踏ん張れないし、指だけじゃなく体全部大事ですよ。
これはピアニストに限った話ではないと思いますが。

ただ、爪の長さには日頃からとても気を付けています。
あとは多分普通ですよ。

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かわいいお直し 装飾ダーニング研究家
(ピアノの仕事は無期限休業中 2019/07現在)
はしもとちえこ

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